エンジニアリング事業部
現実世界を動かすプログラム
組み込みエンジニアが語る、
ものづくりの醍醐味
ものづくりの醍醐味
組み込みエンジニアとは?
~見えない技術が支える日常~
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- まず、私たちが手掛けている「組み込み」とはどういう仕事かというと、身近に感じるところでは家電製品が挙げられますよね。炊飯器や電子レンジなどの中で動いているプログラムを開発するのが私たちの仕事で、そこから視野を広げると、S.R君が手掛けている楽器のシンセサイザーや自動車など、様々な製品に組み込まれている。パソコンの中ではなく、小さな専用機器に入っているプログラムを作る技術者、それが組み込みエンジニアだということですね。
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- 私も会社説明会で、T.Sさんが話されたのと同様の説明をしています。ハードウェアを電子的に動かすためのソフトウェアを開発し、それを製品の中に組み込むのが私たちの仕事だと。目に見えない部分で現実世界の様々な機器を制御している技術だと言えますよね。
お客様先と社内、それぞれの働き方
~お客様との距離感が生む違い~
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- T.Sさんはお客様先での組み込み開発業務を多く経験されていますが、現在はどのような仕事をされているんですか?
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- 今は大手輸送機器メーカーで勤務していて、ロボットを動かすためのコントローラーの制御部分を担当する部署にいます。今の仕事は組み込みとは少し違って、そのコントローラーを制御するアプリケーション側を開発する仕事なんですよ。お客様がロボットをどのように動かすかを管理するサポートソフトをWindowsアプリケーションで構築しています。
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- なるほど。私の場合は社内で組み込み開発を行っていて、お客様から「こういうものを作ってください」というご依頼をいただき、その仕様に沿って開発を進めています。現在は車載系のコントローラーを手がけていて、操作ボタンが押されたときの制御プログラムを開発しています。
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- 以前のお客様先では、歯科用ミリングマシンのファームウェア開発を担当していたこともありました。歯科用ミリングマシンとは、歯の詰め物を3Dでモデリングしたデータをもとに自動で削り出すマシンのこと。そのモーターをどう動かすか、安全装置はどうするのかなど、製品全体のシステムを手がけることができたので、達成感も大きかったな。お客様先での勤務の場合、お客様と一緒にチームを組んで製品開発に携わるから、「こういうものを作りたい」という企画段階からの開発に参加できることも多いです。
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- それは面白そうですね。私の場合は仕様書ベースでの開発が中心なので、お客様が実際に何を求めているかという背景が見えにくい部分があるんです。お客様先での開発は、より製品に密着した形で関わることができるんですね。
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- その通り。製品開発チームの一員として、お客様先の担当社員の方々と仲間意識を持って取り組むことができるんです。一方で、S.R君のような社内での請負開発は、様々なお客様の案件に関われるというメリットがありますよね。
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- 確かにそういう一面もありますね。お客様先と社内、どちらもそれぞれにやりがいを感じられる職場だと言えますね。
ものづくりのやりがいを実感
~画面を越えた現実世界への影響~
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- 組み込みエンジニアとして働いていて、最も魅力を感じるのはどんなことですか?
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- やっぱり、センサーやモーターなど、現実世界に直接影響を与えるシステムを構築できることかな。パソコンやスマートフォンでは画面上での操作に留まるけれど、組み込み技術では実際にモノを動かして、人の行動や要求に応じたシステムを実現できるから。クラウド上などの目に見えない処理ではなく、目に見える形でものづくりを体験できることが組み込み開発の大きな魅力だと思います。
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- 私も同感です。ソフトウェア単体では画面上での表現に限られますが、組み込み技術があってこそ現実世界のモノが動作する。そこが他の開発分野との大きな違いだと思います。
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- 新人教育でも組み込み教育を実施しているけど、毎年すごく好評だよね。組み込みは、若手エンジニアや未経験者でも、すぐに手応えを感じられる分野だといえるよね。
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- 組み込み教育では、最終的に各自が作りたいものを作ってもらうんですが、キッチンタイマーや小型ピアノ、各種おもちゃなど、新入社員の皆さんが独自のアイデアを形にしてくれます。自分のアイデアを実際に形にする体験が魅力につながっているのかなと思います。
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- 組み込み技術を理解すると、日常生活における「ものの見方」が変わりますよね。家電製品を見ても「内部はこういう構造で動いているんじゃないかな」と考えるようになるし、組み込みを利用すれば何でも動かせるし、何でも作れるという感覚が生まれますね。
技術的な壁と達成感
~現実世界ならではの複雑さ~
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- 開発で困難に直面することもあると思いますが、T.Sさんにとって、現状の課題とは何ですか?
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- 現実世界にアクセスできるのが組み込み技術の魅力である一方、裏を返せば現実世界の複雑さと向き合わなければならない難しさがあります。例えば気温や湿度といった環境要因の変化による再現性の問題など、理論だけでは解決が難しい課題に直面します。実運用環境で動作させてから何十時間後に突然エラーが発生することもありますしね。
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- ハードウェアとソフトウェアの両方が関わるため、不具合の原因がどちらにあるのか判断が難しい場面もありますよね。スマートフォンアプリなら基本的にハードウェアは正常動作しますが、組み込み開発では配線の問題や部品の故障といったハードウェアが起因の問題も発生します。先日も、回転数を計測する部品が故障していて、ソフトウェアではなくハードウェアが原因だったというケースがありました。
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- それって、まさに「あるある」ですよね。「ハードウェアが原因なのか、ソフトウェアが原因なのか」の切り分けは非常に重要で、細心の注意を払います。しかしその分、真の原因を突き止めた時の達成感は格別です。地道な作業ではありますが、忍耐力を持って取り組むことで、大きな成果を得ることができると思います。
未来への展望
~AIと組み込みの融合で広がる可能性~
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- S.R君はこれからどんな技術にチャレンジしてみたいですか?
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- AI技術を組み込み機器の中で活用できないかと考えています。実は最近、音声認識で会話するシステムを試作したんですよ。まだ簡単なものですが、「おはよう」「お疲れ様」「ありがとう」「元気ですか?」の4パターンに応答できる会話ロボットを作ってみました。
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- それは面白そう。どんな仕組みなんですか?
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- 現在は辞書ベースなので、話しかけられた言葉に対して決まった返答をする仕組みです。「おはよう」と言えば「おはようございます」、「ありがとう」なら「どういたしまして」という具合に。でも、ここにAI技術を組み込めば、話しかけられた内容を理解して、自分で考えた返答を音声で返してくれる。そうなれば、より知的な会話ができるロボットを開発できると思うんです。
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- それは楽しみですね。スマートフォンの中でAIを使うのとは違った魅力がありそう。
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- そうなんです。組み込み技術なら、その人に合わせてボタンの大きさや操作性をカスタマイズできますし、目的に特化したハードウェアを設計できる。例えば高齢者向けには大きなボタンで簡単操作、子ども向けには安全性を重視した設計というように、ユーザーの個別のニーズに応じたオリジナリティのあるデバイスが作れるのが大きな魅力だと思います。
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- 確かに。私も普段、自分の子どもとの関わりの中で、「こういうものがあったら便利だな」と思うデバイスを作ったりしているんですよ。これまでに作ったのは、九九の学習用デバイスやローマ字学習用のおもちゃとか。どれも機能を絞り込んだシンプルさが、かえって使いやすさにつながっています。スマホでも同じことはできるけれど、子どもにスマホを渡すのも躊躇しますし、「ボタンが1つしかないという制約があるからこそわかりやすい」という面もある。これって、組み込み技術ならではの面白さですよね。
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- そうですね。制約があるからこそ、ピンポイントで便利なものができる。「あれを作りたい」「これを作りたい」というアイデアを実際の形にできるワクワク感が、組み込みエンジニアの最大の魅力だと思います。AIとの融合によって、その可能性はさらに広がっていくでしょうね。
先輩と後輩、それぞれの目標
~専門性を極める道筋~
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- S.R君は、今後どのような分野に進みたいと考えているのかな。組み込み技術を極めたいですか?それとも幅広い技術を身につけたいですか?
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- 組み込み技術は実現手段のひとつだと捉えています。作りたいものがあって、それを実現するために組み込み技術が必要であれば積極的に取り組みたい。そんな感じで、選択肢のひとつとして考えています。
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- 広い視野を持つのは良いことですね。そういえば、社員のインタビューで「音のエキスパート」を目指したいと話していたそうだけど(笑)?
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- いやぁ、あれは少しビッグマウスでした(笑)。音声/音響の分野では社内にスペシャリストが既にいるので、その先輩を超えるのが目標です。その先輩は組み込み技術も含めて総合的に強いエンジニアなので、私もそのようになりたいと思っています。
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- 明確な目標を持つのは素晴らしいことですね。
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- T.Sさんの今後の目標は何ですか?
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- 特定の肩書きを目指すことはないけれど、これからもオールマイティに様々な技術に取り組みたいと思っています。組み込み開発への取り組みももちろんですが。
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- それじゃあT.Sさんは「モノづくりのエキスパート」を目指されているんですね(笑)。どんなものでも物理的に実現させる、といったイメージで。
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- そうとも言えるかな(笑)。組み込み技術を習得すると、技術的な選択肢が大きく広がって、世界が広がった感覚になりますからね。
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- 最後に、これから組み込みエンジニアを目指す方に向けて、何かメッセージはありますか?
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- さっきも言ったけれど、組み込み技術を理解すると、ものの見方が変わって、「何でも動かせる」「何でも作れる」という感覚が生まれるのが魅力だと思います。これまでに取り組んたことがない方も、実際に取り組んでみれば必ず楽しさを実感できると思います!
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- 私も組み込み開発を通じて、技術的な視野が大きく広がったと感じています。「こんなものを作りたい」というアイデアを実際の形にできるとワクワクするし、それが組み込みエンジニアの最大の魅力だと思います。
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- 技術的な幅が広がって、新たな武器を手に入れた感覚になりますよね。恐れずに挑戦すれば、必ず多くの発見と楽しさがあると思います。現実世界を動かすプログラムを通じて、人々の生活を豊かにする…それが私たち組み込みエンジニアの使命であり、やりがいに繋がっています。ぜひその仲間になってください。